【労働衛生(有害業務に係るもの)】有害因子による健康障害(粉じん・高温環境下・低温環境下)・・・5日目
今回は、労働衛生の分野の「有害因子による健康障害(粉じん・有毒ガス・高温環境下・低温環境下)」について説明していきます。
粉じんの種類とじん肺の種類
粉じんを吸入すると、肺に線維増殖性変化が生じ、じん肺に罹ります。
有毒ガスの種類と障害
有害ガスには、窒息性ガスと刺激性ガスによる障害があります。
・窒息性ガス
化学的窒息物質
・・・酸素濃度にかかわらず、それ自体で窒息を引き起こす。
例:
一酸化炭素、シアン化水素、硫化水素
単純窒息性物質
・・・それ自体は無害だが、酸素濃度を低下させて窒息を引き起こす
例:二酸化炭素、メタン、プロパン、エタン
・刺激性ガス
塩素・・・気管支炎、咽頭通、呼吸困難
二酸化炭素・・・慢性気管支炎、歯牙酸蝕症
二酸化窒素・・・気道障害、肺水腫
高温環境下の障害
高温環境下では、以下のような熱中症(熱痙攣、熱虚脱、熱射病、熱疲労)を発症する恐れがあります。
・熱射病
熱調整機能の変調により、発汗停止、体温上昇、意識障害、うわごとなどの症状を起こします。
・熱虚脱
皮膚温度の上昇により、皮膚に血液がたまって血液循環が弱くなり、頻脈、血液低下、頭痛、めまい、耳鳴り、失神などを起こす。
・熱痙攣
発汗により、塩分、水分が不足しているタイミングで、水分のみを補給することで、血中の塩分濃度が低下し、筋肉の痙攣を起こす。
低温環境下での障害
・凍傷
0℃以下の寒冷によって組織の凍結壊死が起こることをいう。
・凍瘡(しもやけ)
・低体温症
体内温度が35℃以下に冷やされて、意識喪失、筋硬直が起こることをいう。
・冷房病
室温と外気温の温度差や、過度な冷房によって頭痛、関節痛が起こることをいう。
練習問題
粉じん(ヒュームを含む。)による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。
(2)鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。
(3)じん肺は、肺結核のほか、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどを合併することがある。
(4)溶接工肺は、溶接に際して発生する酸化鉄ヒュームのばく露によって発症するじん肺である。
(5)炭素を含む粉じんもじん肺を起こすことがある。
答え
(2)
✕…遊離けい酸の粉じんを吸入すると、けい肺結節が形成される。
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