2020年4月19日日曜日

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】必要換気量と温熱条件(6日目)

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】必要換気量と温熱条件(6日目)

最終更新日:2020年4月19日



必要換気量の項目


この章では必要換気量の問題に必要な知識を紹介していきます。

気積とは


気積とは、労働者1人当たりに必要な部屋の空気容積を指します。


必要換気量




必要換気量と気積から、その室内における1時間当たりの必要換気回数が求められます。

(必要換気回数)=(必要換気量)÷(気積)


1人当たりの必要換気量



1人あたりの専有面積から求める方法は、

必要換気量(㎥/h)=(20×居室の床面積(㎡))/(1人当たりの専有面積(㎡))

です。



二酸化炭素濃度


居室内の二酸化炭素の濃度は健康的に暮らすには1000ppm以下にする必要があると建築基準法で定められています。

・新鮮な外気の中の二酸化炭素濃度
新鮮外気中の酸素濃度は、約21%、二酸化炭素濃度は、0.03~0.04%程度である。

・室内の二酸化炭素濃度
必要換気量の算出に当たっての室内二酸化炭素基準濃度は、通常、1%とする。


温熱条件


実効温度


実効温度は、人の温熱感に基礎を置いた指標で、気温、湿度、気流の総合効果を温度目盛りで表したものです。


絶対湿度と相対湿度




・絶対湿度

空気(湿り空気)1㎥中に何gの水蒸気が入っているかを示したものです。
単位は[g/㎥]です。


・相対湿度

相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものです。


WBGT


WBGTは、気温、黒球温度及びエネルギー代謝率から求められる指標で、高温環境の評価に用いられる


練習問題(1)


一般の事務室における換気に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)人間の呼気の成分の中で、酸素の濃度は約16%、二酸化炭素の濃度は約4%である。 

(2)新鮮外気中の酸素濃度は、約21%、二酸化炭素濃度は、0.03~0.04%程度である。 

(3)室内の空気の清浄度を保つために入れ替える必要のある空気の量を必要換気量といい、通常、1時間に交換される空気量で表す。 

(4)必要換気量の算出に当たっての室内二酸化炭素基準濃度は、通常、1%とする。



答え


(4)…✕

室内二酸化炭素基準濃度は、通常、0.1%とします。


練習問題(2)


温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)実効温度は、人の温熱感に基礎を置いた指標で、気温、湿度、気流の総合効果を温度目盛りで表したものである。 

(2)相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものである。 

(3)WBGTは、気温、黒球温度及びエネルギー代謝率から求められる指標で、高温環境の評価に用いられる。 

(4)温度感覚を左右する環境条件は、気温、湿度、気流及び放射(ふく射)熱である。 

(5)熱中症のリスク評価指標として、作業強度などに応じたWBGT基準値が示されている。



答え


(3)…✕

WBGT指数は、気温、湿度及び放射(ふく射)熱から求められる指標です。



2019年12月10日火曜日

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】健康測定・THP(6日目)・・・衛生管理者試験の勉強で大切なポイントまとめ

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】健康測定・THP(6日目)



健康測定


健康測定の意義は、労働者の健康状態を、調査や検査により総合的に測定し、それにより多数の労働者が、質の高い職場生活を送れるように、健康指導を行うことです。



THP(トータル・ヘルス・プロモーション)


健康の保持・増進のために推進されている対策を、THP(トータル・ヘルス・プロモーション)といいます。


①健康測定


産業医が行う。産業医はこの結果を指導表にまとめる。これをもとに健康指導が行われる。



➁健康指導


内容により、4つに分類される。


1. 運動指導

運動指導担当者(ヘルスケア・トレーナー)が労働者全員に対して、1人ひとり運動プログラムをつくり、具体的に指導する。

2. メンタルヘルスケア

健康測定の結果、必要と判断された労働者に心理相談担当者が行う。ストレス対処法やリラクゼーションの指導をする。

3. 栄養指導

健康測定の結果、必要と判断された労働者に産業栄養指導担当者が行う。食習慣の改善を指導する。

4. 保健指導

産業保健指導担当者が労働者全員に行う。睡眠、喫煙、飲酒、口腔(こうくう)保険等に対する指導を行う。






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2019年11月29日金曜日

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】一次救命処置(6日目)・・・衛生管理者試験の勉強で大切なポイントまとめ

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】一次救命処置(6日目)




今回は、衛生管理者試験の労働衛生の分野「一次救命処置」について勉強していきましょう。この分野は一応救命処置の手順の流れを箇条書きで示していきますが、下のリンクに貼る動画を見て流れを確認したほうがいいと思います。

【日本赤十字社】一次救命処置(BLS) ~心肺蘇生とAED~ (字幕あり)


一次救命処置の手順


1. 周囲の確認をする。


2. 意識の有無を確認する


3. 迅速に対応するために、周囲に救命処置が必要であることを知らせる。


4. 周りに人がいたら、119番通報とAEDを持ってきてくれるように頼む。


5. 傷病者が普段通りの呼吸をしているのかを確認する。(10秒以内)


6. 心肺蘇生


7. 人工呼吸


8. 救急隊の人に引き継ぐまで、6と7を繰り返す。


練習問題


一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)気道を確保するためには、仰向けに寝かせた傷病者の顔を横から見る位置に座り、片手で傷病者の額を押さえながら、もう一方の手の指先を傷病者のあごの先端に当てて持ち上げる。

(2)反応はないが普段どおりの呼吸をしている傷病者で、嘔吐、吐血などがみられる場合は、回復体位をとらせる。

(3)心肺蘇生は、胸骨圧迫30回に人工呼吸2回を繰り返して行う。

(4)胸骨圧迫は、胸が少なくとも5cm沈む強さで胸骨の下半分を圧迫し、1分間に少なくとも100回のテンポで行う。

(5)AED(自動体外式除細動器)による心電図の自動解析の結果、「ショックは不要です。」などのメッセージが流れた場合には、胸骨圧迫を行ってはならない。

回答


(5)
✕・・AEDを用いた場合、電気ショックを行った後や電気ショックは不要と判断されたときは、音声メッセージに従い、胸骨圧迫を開始し心臓蘇生を続ける。


【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】温熱条件(6日目)・・衛生管理者試験で押さえておくべきポイント


【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】温熱条件(6日目)

今回は、衛生管理者試験の労働衛生の分野「温熱条件」について勉強していきましょう。

人間の温度感覚



人間の温度感覚は、次の4つの要素で決まります。


①気温 [℃(摂氏)]

➁湿度[%]

③気流[m/s]

④ふく射熱[℃]


このうち①~③までは、アスマン通風乾湿計という計器で測定します。
③は、熱線風速計。④は、黒球温度計で測定します。


至適温度


至適温度とは、暑からず寒からずな温度感覚。個人差があります。

温熱指数


上の温熱要素を合わせた尺度を温熱指数といいます。代表的な温熱指数には、①実行温度、②TGE指数、③不快指数があります。それぞれ見てみましょう。


①実効温度

・・温熱要素のうち、気温、湿度、気流の3要素を総合したもの(ふく射熱は考慮しない)。

➁TGE指数

・・高温作業場における指標。

Tは作業場の平均温度
Gはその場の平均黒球温度
(黒色に塗装された球の中心に温度計を入れて観測した温度)

Eは平均エネルギー代謝率を表します。


③不快指数

・・気温と湿度から求められる値で、人が不快だと思う度合いを表します。


④WBGT(湿球黒球温度)指数

・・気温に湿度、ふく射熱を合わせた総合指標で、高温の環境の評価に用いられます。

この指数は、屋内と屋外で計算の方法が変わります。

・屋外で太陽照射のある場合
WBGT=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

・屋内または屋外で太陽の照射がない場合
WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度


練習問題


温熱条件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


(1)温熱環境は、気温、湿度及び放射熱(ふく射熱)の三つの温熱要素によって決定される。 
(2)実効温度は、気温、湿度及び放射熱の総合効果を一つの指標で表したものである。 
(3)不快指数は、温熱環境の不快度を表す指標で、乾球温度及び黒球温度の測定値から算出される。 
(4)WBGTは、暑熱環境のリスクを評価するための指標で、屋外で太陽照射がある場合は、自然湿球温度、黒球温度及び乾球温度の測定値から算出される。 
(5)至適温度は、作業中の温度感覚を表す指標として、作業に対応するエネルギー代謝率と職場の平均気温から求められ、感覚温度ともいわれる。

答え


(3)
〇・・・『WBGTは、暑熱環境のリスクを評価するための指標で、屋外で太陽照射がある場合は、自然湿球温度、黒球温度及び乾球温度の測定値から算出される。 

2019年11月22日金曜日

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】脳および心臓疾患(6日目)・・・衛生管理者試験の勉強で大切なポイントまとめ


【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】脳および心臓疾患(6日目)
今回は、労働衛生の分野の「脳および心臓疾患」について勉強していきましょう。
まずは脳の疾患からです。

脳疾患の種類


(出血性病変)

脳内出血
・・・脳の血管が破れて出血する症状。頭痛や悪心、吐き気、意識障害を伴う。

くも膜下出血
・・・くも膜下の出血。脳を圧迫し、猛烈な頭痛と嘔吐の発作を伴う。


(虚血性病変)

脳梗塞
・・・血栓により血流が止まる症状。身体の一部の付随やしびれ、視力低下、言語障害、めまい等の症状がある。


高血圧性脳症
・・・急激な血圧上昇により、頭痛、嘔吐、痙攣や意識障害などの症状のグループ。


心臓疾患の種類


(虚血性心疾患)

心筋梗塞
・・・心臓血管の一部が完全に詰まり、心臓の動きが悪くなる症状。激しい胸の痛みや呼吸困難、冷や汗、吐き気などがあり、15分以上続く。

狭心症
・・・心臓血管の一部の血流が一時的に悪くなる。痛み、圧迫感等は、すぐ収まる。


心停止
・・・心臓のポンプの機能が停止する。体内に血液が送れずに、酸素不足になる。

解離性大動脈瘤
・・・大動脈が縦に裂けて起こる。致死率が高い重篤な疾患。

※虚血性心疾患の発見に有用な検査
運動負荷心電図検査

練習問題


脳血管障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)脳血管障害は、脳の血管の病変が原因で生じ、出血性病変、虚血性病変などに分類される。

(2)出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。

(3)虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓などが剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。

(4)脳梗塞や脳出血では、頭痛、吐き気、手足のしびれ、麻痺、言語障害、視覚障害などの症状が認められる。

(5)くも膜下出血の症状は、「頭が割れるような」、「ハンマーでたたかれたような」などと表現される急激で激しい頭痛が特徴である。

答え


(3)
✕…虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳血栓症と、心臓や動脈壁の血栓などが剥がれて脳血管を閉塞する脳塞栓症に分類される。「脳血栓症」と「脳塞栓症」の説明が逆である。


練習問題(2)



虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)虚血性心疾患は、狭心症と心筋梗塞とに大別される。

(2)虚血性心疾患発症の危険因子には、高血圧、喫煙、脂質異常症などがある。

(3)運動負荷心電図検査は、心筋の異常や不整脈の発見には役立つが、虚血性心疾患の発見には役立たない。

(4)狭心症は、心臓の血管の一部の血流が一時的に悪くなる病気である。

(5)狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内であることが多い。


答え


(3)
✕…運動負荷心電図検査は、運動中や仕事中に虚血性心疾患である狭心症・心筋梗塞の症状の疑いが出る場合、心筋の虚血異常の有無を調べる。


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2019年11月20日水曜日

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】労働衛生統計(6日目)・・・衛生管理者試験で押さえておくべきポイント

【労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】労働衛生統計(6日目)




病休強度率


在籍労働者の延べ実労働時間1000時間当たりに何回疾病休業があったのかを表す数値です。この値が大きいほど、健康を害しやすい労働環境であることがわかります。

病休強度率=(疾病休業延日数×1000)÷在籍労働者の延実労働時間


病休度数率


在籍労働者の延べ実労働時間100万時間当たり何件の疾病休業があったのかを表す数値です。

病休度数率=(疾病休業件数×100万)÷在籍労働者の延実労働時間


疾病休業日数率


在籍労働者の延べ実労働時間100日当たり何日の疾病休業があったのかを表す数値です。

疾病休業日数率=(疾病休業延日数×100)÷在籍労働者の延所定労働日数


病休件数年千人率


実労働時間数にかかわらず労働者1000人当たりの休業疾病発生件数を表す数値

病休件数年千人率=(疾病休業数×1000)÷在籍労働者数


負傷休業日数率


在籍労働数の延べ所定労働日数100日当たり何日の負傷による休業があったかを表す数値。

負傷休業日数率=(負傷休業延日数×100)÷在籍労働者の延所定労働日数



練習問題


在籍労働者数が60人の事業場において、在籍労働者の年間の延べ所定労働日数が14,400日、延べ実労働時間数が101,300時間であり、同期間の疾病休業件数が23件、疾病休業延べ日数が240日である。

このときの疾病休業日数率及び病休件数年千人率の概算値の組合せとして、適切なものは次のうちどれか。

(1)疾病休業日数率 0.10、病休件数年千人率227 
(2)疾病休業日数率 1.67、病休件数年千人率227 
(3)疾病休業日数率 1.67、病休件数年千人率383 
(4)疾病休業日数率 2.37、病休件数年千人率103 
(5)疾病休業日数率 2.37、病休件数年千人率383


答え


(3)
疾病休業日数率=(疾病休業延べ日数÷延べ所定労働日数)×100
=(240×100)÷14,400=1.66666≒1.67

病休件数年千人率=(疾病休業件数÷在籍労働者数)×1000
=23÷60×1000≒383


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2019年11月15日金曜日

【衛生管理者試験・労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】骨折(6日目)・・・大切なポイントまとめ


【衛生管理者試験・労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)】骨折(6日目)・・・大切なポイントまとめ

今回は、労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)の分野の「骨折」について勉強していきましょう。

ここまでくれば後は、もう少しです。なかなか大変でしたがゴールが見えてきました。あとの残りも頑張って勉強していきましょう。


骨折の種類


骨折の種類:「完全骨折」と「不完全骨折」


骨折は、傷害の程度によって「完全骨折」と「不完全骨折」に分けられます。


・完全骨折


完全骨折


骨が完全に折れているもの。


・不完全骨折




骨にひびが入って、部分的に接続している状態のもの。


骨折の種類:「単純骨折」と「複雑骨折」


骨折部の皮膚の損傷の有無によって「単純骨折」と「複雑骨折」に分けます。

・単純骨折


皮膚に損傷がない状態で、皮膚の下で骨折している状態。皮下骨折や閉鎖骨折とも呼ばれています。


・複雑骨折

皮膚、皮下組織が損傷して、骨の先が外に出ている状態。開放骨折とも呼ばれています。



骨折の応急処置


外傷を伴っている場合には、創傷の治療をしてから、骨折を処置します。できるだけ動かさず、骨折した部分のずれが大きくならないよう副詞を当てて固定する。



練習問題


骨折及びその救急処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)骨にひびの入った状態を不完全骨折といい、骨が完全に折れている状態を完全骨折という。

(2)骨が1か所で折れている状態を単純骨折といい、骨が2か所以上で折れたり、砕けている部分のある状態を複雑骨折という。

(3)骨折部が皮膚から露出した状態を開放骨折という。

(4)骨折部を副子で固定するときには、骨折した部分が変形していても、そのままの状態を保持して、直近の関節部を含めた広い範囲を固定する。

(5)脊髄損傷が疑われる傷病者を移動させる必要があるときには、硬い板などの上に載せる。


回答


(2)
✕…複雑骨折は皮膚、皮下組織が損傷して、骨の先が外に出ている状態。